この記事を書いている人
山口健太(やまけん)
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 理事長、心理カウンセラー。

自身が会食恐怖症に悩んだ経験から、その悩みを解決する為の支援活動をしている。年間延べ1000人以上の相談に乗るなど、これまで沢山の会食恐怖症に悩む人と実際に会い、リアルな生の声を聞いてきた。活動はこれまで、日本経済新聞、Yahoo!ニュースなど、多数のメディアでも紹介される。

著書に『会食恐怖症を卒業するために私たちがやってきたこと(内外出版社)』などがある。

「会食恐怖症は薬で治るの?」


今回はそんな疑問のお答えするべく、
会食恐怖症における薬物療法について、

  • 処方される薬の効果や特徴
  • それぞれの副作用や危険性について
  • 薬物療法のメリットとデメリットは?
という、
気になるであろう部分ついてまとめています。


それでは、以下よりご覧ください。

1.会食恐怖症は薬で治るのか?

まず、そもそもの話として、
「会食恐怖症は薬で治療可能なのか?」
という事についてですが、

これは結論から言えば、
「治療可能」という事になります。


ですが、
「治療可能」の意味は、
「治るかもしれない」という意味で、
全員が全員治るというわけではありませんので注意が必要です。

(文献などを参考にすると、
 効果があるのは5~6割の人と言われています。)



まず、
会食恐怖症も含めた社交不安障害(SAD)は、
社交不安障害の2つの治療方法と期間について
で解説したとおり、
「薬物療法」と「精神療法」の2通りあります。



そして、それぞれに
メリットやデメリットがあり、
その人の状況などによって向き不向きがあります。



特に、
薬物療法についてはデメリットとして、
「副作用」や「依存性」などが付きものなのです。


(詳しくは後述します。)



なので、薬に頼る場合は、
お医者さんの指示を受けて、
しっかりと取り組んでいく必要があります。



その前提の上で、
ここから本題へと入っていきましょう。

2.社交不安障害の時に処方される主な3つの薬とは?

実際の臨床現場では、
どのような薬が処方されているのか?


これについてはいわゆる、
「向精神薬」というものが処方されていますが、
会食恐怖症も含めて社会不安障害の場合は、
  1. SSRI(抗うつ薬)
  2. 坑不安薬
  3. β遮断薬
この3つが主となります。

(他にも向精神薬には、
 「気分安定薬」や「睡眠薬」があります。)



特に、一番の選択肢となり得るのは、
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を
メインとした「坑うつ薬」ですが、

症状が軽い場合は、
「抗不安薬」のみの処方の事もあります。

ちなみに、薬物療法の手順としては、
病院に行き医師による問診などを受けて、
その時に適切だと思われる薬を処方されるので、
それを2週間ほど服用します。

そして2週間ほどたったら病院に行き、
その経過を見ることによって、
薬の種類や分量などを調整し、さらに服用。

これを繰り返していくことで、
ベストな薬の種類と分量を決めていく形となります。
ではここから、
それぞれの薬について、
より詳しくみていきましょう。

3.それぞれの効果や副作用について

それぞれ、
どんな薬なのか?
どんな効果があるのか?
どんな副作用があるのか?



以下より、
わかりやすく説明します。

3-1.SSRI(坑うつ薬)

まずは、
メインとなるSSRI(坑うつ薬)では、
  • パロキセチン
  • フルボキサミン
    • などのものがあります。




      これがどういう薬かというと、
      「セロトニン」という人が幸せを感じるホルモンの放出を、
      ”長い時間維持させることができる”ようになるものです。


      SSRIは、
      社会不安障害の特効薬として
      かなり効果が高いので、

      一時的な対処ではない、
      根本的な治療を目指す事ができます。




      ですが、

      副作用として、
      • 吐き気
      • 睡眠障害
      • 口の渇き
      • 便秘や下痢
      • めまい
      • 性機能障害
      などが挙げられていますので、
      服用の際は必ず、医師の指示に従うようにしましょう。



      ちなみに、SSRIの服用は、

      引きこもり等の重度の社会生活の損失など、
      比較的症状が重い方に処方される事が多く、

      症状が良くなってからでも、根治させるために
      最低1年以上の服用を勧められる事が多いようです。

      3-2.抗不安薬

      次に坑不安薬ですが、
      これは「GABA(ギャバ)」という
      脳神経の興奮をしずめる成分の働きを
      強くする効果があります。


      その鎮静作用によって、
      不安や緊張が和らぐというからくりです。



      抗不安薬は、
      短期間で効果が現れるのが特徴的ですが、
      それはあくまで一時的なものなので、
      根治させるのは難しいといわれています。




      ちなみに、
      抗不安薬には、
      1. デパスやリーゼなどの短時間作用型
      2. ワイパックスなどの中時間作用型
      3. メイラックスなどの長時間作用型
      という3タイプがあります。


      なので、

      「急に不安が襲ってきて大変!」

      というときは、
      短時間作用型のものを。


      「今日は1日中、不安が続きそうだ・・・」

      というときは、
      長時間作用型のものをなどと、
      用途を使い分けられます。



      副作用としては、

      「強い眠気」が襲ってきたり、
      高い依存性による、
      「離脱症状」などが挙げられています。

      3-3.β遮断薬

      そしてβ遮断薬では、
      交感神経を興奮させる物質の、
      「ノルアドレナリン」の結合を防ぐ事で、
      興奮を抑える効果があります。




      ちなみに、

      β遮断薬は心臓の拍動を抑え、
      血圧を下げる働きがあるので、
      高血圧や不整脈、
      狭心症などの治療薬として用いられている他、
      自律神経失調症の治療にも使われています。



      副作用は、
      血圧が下げることによる
      ふらつきが挙げられます。


      
      また、
      気管支が広がりにくくなる作用があるので、
      喘息の人は服用出来ません。



      具体的には、
      インデラル、ミケラン、サンドノーム等がありますが、
      β遮断薬は必要な時だけ使うのが一般的で、根治は望めません。

      4.結論:会食恐怖症に使われる薬は?

      この記事は、
      「会食恐怖症だけの限局性の社交不安障害だ」
      という人も多いと思いますが、
      その場合は抗不安薬またはβ遮断薬が処方される事が多いはずです。

      全局性と限局性の違いは以下を参照。
      社交不安障害には2つある?|全局性と限局性を解説

      全曲性の社交不安障害の場合であれば、
      日常的なSSRIとの服用をベースに、

      「今日は不安や恐怖が大きいぞ・・・」

      という時に
      抗不安薬を飲む形になるのが一般的です。

      5.薬物療法のメリット&デメリットまとめ

      これまで、薬物療法における3つの種類の
      薬の効果や副作用について書いてきました。


      薬物療法のメリットや
      デメリットを再度まとめると、
      以下のようになります。

      メリット:
      • 薬を飲むだけで良い
      • 治療効果が現れるのが早い

      デメリット:
      • 副作用や離脱症状がある
      • 服用をやめると症状が再発することもある(最低1年以上の服用が望ましい)
      • 妊婦さんなど、人によっては治療が不可能な事も


      これを踏まえると、
      「一刻も早く治療しないと、とても重大な損失がある」
      という場合に薬物療法が選ばれる事になりますね。


      実際、社交不安障害の人は、
      症状が発症してから10年以上経って、
      初めて病院を受診する人も結構多いと言われています。

      6.最後に

      いかがでしたか?


      私は、1つの選択肢として
      薬物療法は有りだと思っています。


      ですが、

      私自身は、
      会食恐怖症を病院に行かず克服しましたし、
      薬は副作用や依存性による離脱症状もあります。




      たしかに、
      人によっては、

      「その時の不安さえやり過ごせればいいや」

      と思うかもしれません。


      しかし私は、
      「会食恐怖症を克服する」というのをきっかけに、
      心の強さを手に入れることで
      人生を明るく生きていって欲しいと思っていますし、
      そんな仲間や繋がりを作っていきたいと思っています。



      なので、
      薬物療法を第一選択肢とはしていません。


      実際、認知行動療法をはじめとした、
      精神療法(メンタルトレーニング)では、
      薬物療法よりも、再発率が低いことが分かっています。




      もちろん、
      まずはしっかり治すことが大事ですが、
      薬物療法はその点なども考えて、
      検討してみると良いでしょう。



      病院の選び方などは、
      以下の記事を読んでみてください。

      会食恐怖症は心療内科?おすすめの病院の選び方とは

      2017.01.17


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