この記事を書いている人
山口健太(やまけん)
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 理事長、心理カウンセラー。

自身が会食恐怖症に悩んだ経験から、その悩みを解決する為の支援活動をしている。年間延べ1000人以上の相談に乗るなど、これまで沢山の会食恐怖症に悩む人と実際に会い、リアルな生の声を聞いてきた。活動はこれまで、日本経済新聞、Yahoo!ニュースなど、多数のメディアでも紹介される。

著書に『会食恐怖症を卒業するために私たちがやってきたこと(内外出版社)』などがある。

実は、

「会食恐怖症」

と一口に言っても、
その症状の現れは人それぞれだったりします。


なので今回は、
「具体的な不安症状の例」を、
私の経験談も交えて解説していきます。


  • 今現在、会食恐怖症の自覚がある方
  • 「会食恐怖症かもしれない」と感じている方
  • 会食恐怖症の人が身近にいる方

全ての人にとって、
有益な情報をお届けしますので、
ぜひぜひ以下より読み進めてみてください。


※外食恐怖症についても、
外食恐怖症とは?原因や克服について分かりやすく
という記事にてまとめてみました。

1.会食恐怖症(外食恐怖症)とは?

「会食恐怖症とは何か?」


これを簡単に解説すると、

「人前で満足にご飯を食べるのが怖い、不安だ、緊張する、震える、吐き気が・・・」

などの精神状態が、
”健全な社会生活が脅かされるレベル”
で存在している事をさします。


「ん?もっと具体的にはどういうこと?」

そう感じた人もいるかもしれないので、
会食恐怖症をよく知るにあたり、
ここでは以下の3点を抑えておきましょう。


それは、
会食恐怖症というのは・・・
  1. 社交不安障害(SAD)の不安症状の1つである
  2. 健全な社会生活が脅かされているということ
  3. 不安が不安を呼ぶということ

ということです。


ここからが重要、解説していきます。

1-1.社交不安障害(SAD)の1つ

「社交不安障害(SAD)」という言葉を
聞いた事がある人はどれほどいるでしょうか?


社交不安障害というのは、

「人と接する事に対して強い不安を覚え、
 その不安を避けようとしたりすることで、
 本来あるべき健全な社会生活が脅かされる精神的な障害」


の事なのですが、

実は会食恐怖症というのは、
その社交不安障害の不安症状の1つなのです。


ちなみに社会不安障害は英語表記で、
「Social Anxiety Disorder」なので、
「SAD」と呼ばれる事も多いです。
イメージとしては、
以下のような感じですね。
社交不安障害と会食恐怖症の位置付け
「社交不安障害なんてよく知らない」という方は、
社交不安障害とは?症状を例に分かりやすく解説(チェック付き)
を一度ご覧ください。

1-2.健全な社会生活が脅かされているか?

そして誰でも、

目上の偉い方だったり、
初対面の方との会食であれば、
緊張する事が多いんじゃないかと思います。


なので、
「これも会食恐怖症なの?」
と思う方もいるかもしれませんが、

それは誰もが感じる健全な不安なので、
会食恐怖症にはあてはまりません。




会食恐怖症の場合は、
「いつも、緊張で殆ど喉が通らない、うぅ吐き気が・・・」とか、
「明日の会食や外食の場を想定しただけで不安が・・・」とか、
「友達同士でよく遊ぶのに、ご飯を一緒に食べるのは無理・・・」とか、
“あきらかに健全な不安ではない場合”をさすのです。

1-3.不安が更なる不安を呼ぶ

そして、会食恐怖症の場合であれば、
「不安が更なる不安を呼ぶ」というのが大きなポイントとなります。


普通、
仮に緊張する会食の場だとしても時間が経てば、
「あぁ、最終的には打ち解けてよかったな」と感じ、
その成功体験を経て、
次の機会などでは緊張しなくなっていきます。


ですが、
会食恐怖症の方であれば、
”毎回毎回が試練”です。


症状が悪化するメカニズム」でも解説しているので、
こちらの内容も一度見て欲しいのですが、

その毎回の試練には耐えきれなくなり、
次第に一人(あるいは本当に打ち解けられる人のみ)で、
ご飯を食べるようになります。


そして、そのように会食機会が減ると、
会食での成功体験を積む機会も少なくなり、
次の会食機会への不安が更に大きくなるのです。




なのでまとめると、

「本当は楽しく会食を楽しみたい!」と思いつつも、
「また不安症状(緊張、吐き気、震え…etc)が起きたらどうしよう・・・」
という気持ちのループから抜けきれず…

会食機会もまた更に少なくなり、
そうするとまた会食機会への不安が大きくなり…

最終的には、
社交場や異性とのデート機会の損失など
健全な社会生活が失われていくのです。




ここまでで、
なんとなくイメージは掴めたでしょうか?

ここから具体的な例をもう少しみてみましょう。

2.具体的な不安症状の例

実は会食恐怖症の方には、
いろいろなタイプの不安症状があります。


具体的にいくつか挙げると・・・

  • 少食であることにコンプレックスを感じ、
    それを誰かに指摘されないか等と不安に感じるタイプ

  • 緊張で手が震えてしまい、
    周囲から変な目で見られないかと不安に感じるタイプ

  • 自分の咀嚼音が気になり、
    それが周りを不快にさせてるのではないかと不安に感じるタイプ

  • 美味しそうに食べることができず、
    同席者に申し訳ないと思いが不安に変わるタイプ

  • 嘔吐への恐怖により、
    食事ができなくなるタイプ

などです。


これが次第に大きくなり、
「誰かとご飯を食べられない!」となっていきます。


おそらくですが、
最初に挙げた不安(少食で〜)を抱える方が
一番多いんじゃないかと思います。


「会食恐怖症は女性が多い」と言われるのも、
それが要因として1番多いからかもしれませんね。


そして、そこにはだいだい、
人前で食事することが不安になったキッカケ。

いわゆる、
「原体験」「ネガティブな経験」があります。



たとえば、
少食に対する不安が大きい人であれば、

「小学生の時に、給食を全部食べきれず、
 残して食べされられていたのが苦痛だった」


等があったりとかですね。

(※これはほんの一例です。)



ちなみに、私の場合は、
部活動が大きなキッカケでした。


気になる方は以下を読んでみてください。
会食恐怖症が治った話を、時系列順で書いていく。

克服の参考になると思います。

3.会食恐怖症が辛い1番の理由

会食恐怖症の辛い点は沢山ありますが、
一番大きいのは、
「当事者しか分かり辛い悩みである」
という事なのではないでしょうか?


つまり噛み砕いて言えば、
「なかなか理解されない」という事です。



これはよく私が出す例なのですが、

たとえば体の怪我とかであれば、
大概は「大丈夫?」などと一声掛けてもらえます。


しかし、会食恐怖症の場合は
そういうわけにはいきません。


仮にカミングアウトをしたとしても、

「え、誰かとご飯をたべられない?何で?」

という、
キョトンとした顔をされる可能性があるわけです。



そして、
会食恐怖症の方はそれを重々承知しているし、

「あまり変な人だとは思われたくない」

と感じている場合が多いので、
カミングアウトする事を基本的には避けています。

もし、身近な人にカミングアウトされた方がいて、
それがきっかけでこの記事を読んでいる方がいれば、
その人はあなたの事をかなり信頼している事が考えられます。


むしろ、あなたにだけ、
カミングアウトしている可能性もあります。

なので、「良きサポート源」として、
彼・彼女を応援してあげてください。


それが私からの一つの願いです。


「そうなんだ、辛いんだね。打ち明けてくれてありがとう」

そんな一言でも、救われます。
また、
これは社交不安障害の方全般的に言えますが、

「一見そんな障害を
 持っていないように見える人もいる」


というのもポイントです。


つまり、
家に引きこもってる人だけではなく、

普通に学校に通っていたり、
会社で働いている人の中でも、
会食恐怖症の人は存在しているという事なのです。




だけど、会食は苦手。

それゆえに、
理解されにくいというのもあります。



あとは、
「会食恐怖症」というもの自体の、
認知が広まっていないというのも
理解されない要因の1つでしょう。




日本ではおそらく、
「社交不安障害(SAD)」ですら、
あまり一般的には知られてないと思います。


ですが、

米国の疫学調査によると、
社交不安障害は精神障害の中では、
うつ病、アルコール依存症に次いで3位の患者数
だそうです。



ここら辺について詳しくは、
会食恐怖症の芸能人は存在した!日米の認識の違い
を読んでみてください。

色々と考えさせられます。

4.QRLの低下が大きな問題

また、会食恐怖症の大きな問題として、
「QOL(人生全体の質)の低下」が挙げられます。


一般の人からすれば、

「会食恐怖症であれば、会食をしなければ不安は避けられる」

と思うかもしれませんし、
実際それはそうとも言えます。


ですが、ここには大きな
トレードオフが隠されています。



先にも少し述べたのですが、

具体的に言えば、
「会食を避ける」とか
「会食が出来ない」という状態では、

「新しい人脈が広がりにくい」
「誰かと仲を深めにくい」


というデメリットが存在するのです。



これはつまり、

仕事であれば、
大きなチャンスを逃してしまうかもしれないし、

恋愛であれば、
なかなか成就させる事が難しいという
可能性が大きくなるという事です。

↑いわばこれが、健全な社会生活の損失です。


まぁ、
上記の事は会食恐怖症の方であれば、

「そんな事分かってるよ!」

と、大声ではねつけたくなる事だと思いますが、
これは会食恐怖症をよく知らない方の為に書いています。



そして、
会食恐怖症の方でも大丈夫です。

必ず治ると私は信じています。


その為に私が発信しているわけですから、
明るい未来を信じていきましょう。

5.最後に

いかがでしたか?


会食恐怖症は確かに辛いです。


ですが、

私が今だからこそ言えるのは、
”会食恐怖症のおかげ”
ある意味人生が良くなったという事です。



会食恐怖症という悩みのおかげで、
自分と向き合うキッカケを得て、
より強い心を手に入れられました。


会食恐怖症という悩みのおかげで、
心の病がある方やその他悩みを持つ人に、
より優しく接する事が出来るようになりました。


会食恐怖症という悩みのおかげで、
今このようにブログを書くなど、
ライフワークが1つ増えました。




もちろん、
今ものすごく悩み苦しんでいる人相手に、
このような私の気持ちに
無理に共感してほしいとは思っていません。



ただ、
会食恐怖症と向き合う事を通して、

「今後の良い人生を作る、キッカケにする事ができる」

そういう思いがあります。



その為に私も活動していますので、
そんな未来を一緒に作っていきましょう。



また、以下の記事では、
会食恐怖になる原因ときっかけ7つのパターンをまとめました。

一度、読んでみてくださいね。


☟こちらより☟

会食恐怖症になる原因ときっかけ8つのパターン

2017.01.12


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山口健太(やまけん)

一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 理事長、心理カウンセラー。自身が会食恐怖症に悩んだ経験から、その悩みを解決する為の支援活動をしている。日本で初めて会食恐怖症の本を電子出版し、Amazonジャンル別ランキング1位獲得。年間延べ1000以上の相談に乗るなど、これまで沢山の会食恐怖症に悩む人と実際に会い、リアルな生の声を聞いてきた。