この記事を書いている人
山口健太(やまけん)
一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 理事長、心理カウンセラー。

自身が会食恐怖症に悩んだ経験から、その悩みを解決する為の支援活動をしている。年間延べ1000人以上の相談に乗るなど、これまで沢山の会食恐怖症に悩む人と実際に会い、リアルな生の声を聞いてきた。活動はこれまで、日本経済新聞、Yahoo!ニュースなど、多数のメディアでも紹介される。

著書に『会食恐怖症を卒業するために私たちがやってきたこと(内外出版社)』などがある。

この記事では、
私が会食恐怖症を発症して克服するまで
時系列順で書いていきます。


ただの実体験を長々書いてもあれなので、
「あなたの克服のヒント」となるように書いていきます。

ぜひぜひ以下より読み進めてみてください。


それでは、早速いきましょう。


1.原体験は親との食事だった?(幼少期)

私が、
会食恐怖症を発症したのは
高校の部活動がきっかけです。


しかしながら、

よくよく思い返してみると、
その小さなきっかけとなったのは、
家庭での食事にあったような気がします。


(このような小さなきっかけを、
 私は「原体験」と呼んでいます。)




ー私は幼少の頃から小柄な方でした。


なので、

父などにはよく、
「たくさん食べないと大きくならないぞ!」のように、
ご飯をたくさん食べるように言われていたのです。


ここまではよくある話だと思いますが、
「ご飯をたくさん食べる事」を強制されるのは
小食な子供からすればけっこう酷な事ですし、
子供というのは基本的に
14歳くらいまでは愛に飢えています。




具体的に言うと、
「自分のありのままを受け入れてほしい」
という気持ちが強いのが小さい子供です。


ですので、その時期に、
「たくさん食べない子はダメだ!!!」みたいな、
「自己否定」されるような事を言われる起きると、

「このままの自分じゃダメなんだ・・・」

という気持ちを抱く事が多くなります。


その結果子供は、

本当の自信が失われたり、
「自分のやりたい事をやる」よりも、
「誰かに褒められる為に頑張る事」を優先しがちになるのです。




私も例に漏れずそういう子供でしたし、
父などのそういう言葉がきっかけでいつしか、
「食べる事自体」に苦手意識を持つようになっていました。


小学校の時の給食でも、
元気よく早食いしておかわりしたり、
「余ってるデザートじゃんけん」とかに
参加した事は基本的にありませんでしたし。笑

2.会食恐怖症を発症したきっかけ(高校時代)

そして、
会食恐怖症になった大きなきっかけは、
高校時代の部活動にあります。




私は野球をやっていたのですが、

合宿などの時に「食トレ」の名目で、
たくさんご飯を食べる事に対しノルマが課せられます。


(たぶん、運動部あるあるかな?)



今でも覚えているのですが、

うちの部活でのノルマは、
「朝どんぶり2杯、昼どんぶり2杯、夜どんぶり3杯」でした。


そして私は最初の合宿の時、

「こんなに食べれるかな〜・・・」

みたいにかなり緊張して、
ご飯が喉を通らずあまりご飯を食べられなかったのです。



そうしたところ、
監督に目をつけられて、
みんなの前でめちゃくちゃ怒られたんですね。



「普段から飯食う努力をしてねぇんだろ、山口!!!」

みたいな感じです。


これが、
会食恐怖症発症の大きなきっかけです。

3.緊張と吐き気と不安で・・・

監督としては、
「たくさん食わないと体が出来ないぞ!」という
ある意味では愛の裏返しで怒ったのかもしれません。


そして、
その気持ちも分かるのですが・・・

正直そのように怒られたら、
さらに緊張や不安が大きくなるだけです。



そして、
緊張や不安が大きくなれば、
さらにご飯は喉が通らなくなります。




だいたいにして、

どんぶり2杯くらいだったら、
胃袋的には頑張れば食べられます。

(今は無理かもしれませんが。笑)


つまり、その時食べられなかったのは、
「普段からご飯を食べる努力をしていない」とかではなく、
「ただ単に緊張して食べられなかっただけ」なのです。


それなのに、
見当はずれな怒られ方をしたので、
かなり悔しいというか、悲しい気持ちになりました。



そして次第に、
「合宿所の食堂に入るだけ」で
吐き気がするなど気持ち悪くなるようになり、


次には、
「想像するだけ」で気持ち悪くなるようになり…


最終的には、
誰かとご飯を食べるのが嫌になり、
避けるようになったのです。

これらは「忍耐」と「回避行動」と言われます。
cf.「社交不安障害とは?症状を例に分かりやすく解説(チェック付き)

4.会食恐怖症が理解されない苦しみ

会食恐怖症の大きな悩みの1つとして、
「周りに理解されにくい事」があるのではないでしょうか?



これは精神的な悩みの全般に言えることですが、

たとえば、
足の骨折でもしていれば、
ギプスに松葉杖の一目で、

「あの人は怪我をしている」

という事がわかります。


ですが、精神的な悩みは、
そのような事が分かりずらい。


「うつ病」とかならば
理解はされるかもしれませんが、

ましてや「会食恐怖症」という、
聞いた事のない名前であれば、

「なにそれ?」

で、終わりです。



実際、高校時代、
友人に一度だけこの悩みを打ち明けた事があります。


その時は、
「こんな事を言ったら嫌われるんじゃないか?」
みたいな想念があったので、

”清水の舞台から飛び降りる”ような、
決死の気持ちで打ち明けました。



そうしたところ・・・


「それじゃあ、大学に行って彼女とかとデート出来ないじゃん。ガハハハハ!」


彼は励まそうとして明るく返したのかもしれませんが、
当時の私は「大変だね」と言ってくれる理解者が欲しかったので、
ものすごいショックで涙が目に滲んだ事を覚えています。


まぁ今、思い返すと、
「あの時の自分は弱かったな〜」と思うのですが、
当時は心から悩んでいたので
理解者が居ないというのは本当に苦しかったです。

5.精神療法で改善?(大学時代)

会食恐怖症をあまり改善できないまま、
私は大学に進みました。


そこで2つの転機が訪れます。


まず1つ目は、
「認知行動療法を知る機会」です。


まぁ本当は、
「メンタルコーチ」との出会いなのですが、
一応ここでは、
「認知行動療法」と書いておきます。
認知行動療法についてはこちら
社交不安障害の2つの治療方法と期間について

具体的に言えば、
「物事の捉え方を変えるトレーニング機会」
に恵まれたのです。



たとえばですが、
若い人が何か起業しようと思った時に、

「まだ若いから、経験不足で絶対に失敗してしまう」

とネガティブに考える人もいれば、

「まだ若いから、いくら失敗しても次に活かせるチャンスがたくさんある」

とポジティブに考える人もいますよね?


あるいは、

「若いから失敗する事も多いはず、
 じゃあどうしたら本当に成功できるだろうか?」


みたいなに、
クリエイティブな問いを持つ人もいるでしょう。



そして実際、
ネガティブな方の考え方であれば、
本当に起業したくても怖くて出来なくなってしまいます。



だから、本当に起業をしたいのであれば、
そのネガティブな考え方は持たない方が良いわけですが、

人の認知(物事の捉え方や考え方)というのは、
このように人それぞれで変わってしまうし、
その認知によって行動や結果も変わるわけです。




そして、その認知というのは、
時間をかけて変える事が出来る。



これを知って学んだのが、
私の場合であれば大学生の時であり、
それが会食恐怖症の克服に役立ったのです。

6.対人とご飯を食べる機会

また、大学生になると、
「飲み会」という場が多くなります。


会食恐怖症の方であれば分かると思いますが、

特に苦手なのは「給食」とか「定食」などの、
決まった量のご飯を食べなきゃない時じゃないでしょうか?




ですが、

飲み会であれば
たとえ料理を食べなかったとしても、
適当に飲み物を飲みながら
人と話していればなんとかなります。


会食恐怖症の改善・克服には、
実際に会食慣れする事もかなり大切です
ので、
大学生になり飲み会が多くなったのも功を奏しました。



また、
私は飲食店のバイトをしていたのですが、
その時に”まかない”が出ます。


最初はそのまかないも、
緊張して食べれなかったりも多かったのですが、

幸運な事にスタッフの方が良い人ばかりで、
「ゆっくり食べてもいいからね」や、
「別に残しても大丈夫だよ」などの声を掛けてくれたので、
次第に決まった量を食べるという事にも慣れて、
会食恐怖症が良くなっていったのでした。

7.時々発症する時も・・・(社会人時代)

その後は、

「初対面の方ばかり×決まった量を食べなきゃない」

という条件下の時はたまに、
食事が喉が通らない事も時々ありました。



ですが、
とある事に気づきます。


それは、

「決まった量を食べなきゃいけない」

というのは、
”本来は全く存在しない縛りだ”という事です。



しかしながら私たちは、

小さい頃から、
「残さず食べましょう」
と言われながら育ってきました。


「給食は残さず最後まで食べなきゃいけない」

とかもそうかもしれませんね。



そして、私の場合であれば、
子供の頃や高校の部活がきっかけで、
その想念(思い込み)がさらに強固になっていました。



そしてたしかに、
食事に感謝する事は大切ですし、
作り手からしたら、
ご飯を残されるのは気持ち良いものではないでしょう。



ですが、

その価値観や想念によって、
苦しんでいる人がいるのであれば、
それらの考えは捨ててしまっていい。


つまり、
「何が世間的に正しいのか?」ではなく、
「何が自分にとって楽しいのか?」で、
全て決めてしまっていいということです。



これって人生も一緒ですよね?


死ぬ時に、
「俺の人生は世間的に正しかった!」ではなく、
「俺の人生は最高に楽しかったか!」と言って死にたい人が殆どのはず。



話が壮大になってきましたが、

最終的に私は、
「別に食べなくてもいいや」というのを選択したわけです。


そして、そのおかげで、
会食に対する恐怖は消えて行きました。

8.完治(今現在)

キッパリと言えますが、
今は会食に対する恐怖はありません。


仮にその時に調子悪かったとしても、
「僕、ご飯あんま食べないんで」とかって
適当に理由をつけてご飯を食べなければいいからです。笑


…というよりむしろ、

今は食べ歩きが趣味の1つであり、
ご飯を食べる事を楽しんでいます。



そして、自分と向き合う機会をくれた、
「会食恐怖症」にある意味感謝をしているのです。


なぜなら、

会食恐怖症のおかげで、
「人の心」についてより詳しくなれたし、
人の優しくなれるキッカケを貰えたからです。




また余談ですが、
こんな経験から思うのは、
ご飯の美味しさっていうのは、
「何(どんな料理)を食べるか?」ではなく、

「誰と、どこで、どんな会話をしながら食べるか?」

って事だと思います。


今は、
会食恐怖症の方の支援をメインにしていますが、
最終的にはこのブログきっかけで繋がったみんなで食べ歩きとかをして、
ミシュランガイドを超えるグルメ本を出したりとかしたいですね!




それでは、
長々とお読みいただき有難うございました。

1つでも参考になれば幸いです。


☟こちらの記事も読んでみてくださいね。☟

会食恐怖症の克服を自力でするための5ステップ(音声付き)

2017.01.13


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山口健太(やまけん)

一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 理事長、心理カウンセラー。自身が会食恐怖症に悩んだ経験から、その悩みを解決する為の支援活動をしている。日本で初めて会食恐怖症の本を電子出版し、Amazonジャンル別ランキング1位獲得。年間延べ1000以上の相談に乗るなど、これまで沢山の会食恐怖症に悩む人と実際に会い、リアルな生の声を聞いてきた。